孫文が提唱した「三民主義」は三つの主義から成っている。つまり、民族(中華の回復)・民権(民国の建立)・民生(土地の平等)を意味する。中でも民族主義は、満州族である清王朝を打倒して民族の独立をめざし、第一次国共合作を経て、欧米列強の帝国主義による半植民地状態からの脱出と、漢民族と少数民族の平等を意味する五族共和へと発展を目的としていた。
孫文は、欧米の民主主義以上の理想的な制度を作ろうとしたが、他方では少数民族の問題をあまり真剣に感じていない面もあった。また中国人が政治的に成熟するまでは、治安を安定させるための軍政や一党独裁を認めている。また土地所有を認める点で現実的であるとともに、ロシア革命を評価し、共産党との共闘も辞さなかった。
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