アスファルトの歴史

技術

アスファルトは、現在では道路舗装など身の回りの多くの場所で使用されている材料ですが、人類の歴史では古来より接着剤、防水材として利用されてきました。

縄文時代の日本では、接着剤として天然アスファルトが使用されたことが分かっており、青森県、秋田県、新潟県などの遺跡から、天然アスファルトが付着した矢尻や、アスファルトで補修された土器、土偶が多数出土しています。

天然アスファルトが大規模に使用され始めたのは紀元前3800年頃からで、チグリス・ユーフラテス川流域に栄えたメソポタミア文明やインダス川流域に栄えたインダス文明の遺跡で建材、防水材などに天然アスファルトが使用されていました。

紀元前3000年頃のエジプトでは防腐材としてミイラの保存にアスファルトが使用されていました。旧約聖書ではノアの箱舟の防水材、バベルの塔のレンガを固定する接着剤としてアスファルトが登場しています。

紀元前3000年頃のエジプトでは防腐材としてミイラの保存にアスファルトが使用されていました。旧約聖書ではノアの箱舟の防水材、バベルの塔のレンガを固定する接着剤としてアスファルトが登場しています。

アスファルトは道路舗装(アスファルト舗装)、防水、土木材料、制振材、防音材、接着剤、絶縁材料など多くの用途に使用されていますが、現在最も多用されているのが道路舗装用途です。

アスファルトが道路舗装に本格的に用いられるようになったのはロックアスファルト(多孔質の石灰岩や砂岩中に滲み込んでできる塊状の天然アスファルト)発見以降と言われています。

 

1800年代半ば、スイスのロックアスファルト鉱山の技師が運搬中に荷車からこぼれたロックアスファルトのかけらが荷車の車輪で粉砕、踏み固められて自然に良好な路面になっていることを発見しました。

これを人工的に良好な舗装をつくるために応用して、加熱したロックアスファルトを敷き均し、平坦に転圧する工法を考案し施工しました。これが近代アスファルト舗装の始まりと言われています。

その後自動車の出現により、骨材を結合する固結材としてアスファルト、セメントが検討され始め、石油産業の成長に伴い、自動車の乗り心地が良く、耐久性が高いアスファルト舗装が主流となりました。

 

日本で最初のアスファルトを用いた舗装は、明治11年(1878年)東京の神田昌平橋で施工された橋面舗装で、秋田産の土瀝青(天然アスファルト)が使用されました。

その後自動車の普及につれ舗装の耐久性への要求が高まり、明治後期から大正期はシートアスファルト舗装、昭和初期にはアスファルト乳剤を使った表面処理工法が採用され、舗装面積の急速な拡大に貢献しました。

戦後、石油産業の成長とともに、アスファルトの供給手段がドラム缶詰から、タンクローリーによる配送へと変遷し、日本の舗装率の画期的な向上と、日本の経済発展に貢献しました。

現在では交通条件、気候条件、地域の環境に対応して、高分子材料、樹脂などで改質したアスファルトが使用されています。今後も省資源、自然環境保護など使用目的に応じた高機能のアスファルトの開発が期待されています。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました