メディチ家は銀行ではなく両替商

経済

キリスト教の教義では利子をとって金を貸すことは禁じられていた。ルネサンス以降も利子禁止は教会法に明記され続けていく。だが、商品経済の発達は金融業を生み出しつつあった。彼らは利子禁止を逃れるために様々な言い逃れや、手法を編み出す必要に迫られていた。メディチ家は銀行ではなく両替商の看板で営業していた。

仮にフィレンツェの織物業者がメディチ銀行に1000フィオリーニの融資を頼んだとする。メディチ銀行は外貨(例えばフランスとかヴェネツィアの通貨で)1000フィオリーニにあたる金額を記した手形を発行する。業者はその手形を持ってメディチ銀行フィレンツェ支店に行く。

銀行は業者に1000フィオリーニ払い出すが、そこから200フィオリーニを両替手数料として差し引く。業者の手には800フィオリーニしか残らないが、負債額は1000フィオリーニであるから、決められた期日には1000フィオリーニ返済しなければならない。

20パーセントの利息を前払いで取られたのとまったく同じであるが、名目はあくまで両替手数料だ。利子は一文もとっていないという言い訳が成り立つ。

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