仮想通貨

経済

通貨というものは、いつも新しい技術とセットだった。金貨や銀貨や銅貨を同じ大きさと重さと形で大量に作る技術は中央政府以外にはなかなか持ち得なかった。それが“信用”を生んでいたのである。その後、紙幣になってからは偽造防止技術が進化し、その価値を国家などが保証することで決済のための交換媒体となった。

仮想通貨の基盤技術である「ブロックチェーン」はすべての取引を、それに関係するすべてのコンピュータが記録することで人間の指紋のように複製や偽造ができなくなり、「特定の権威」なしに取引の正当性を保証するという仕組みである。

 

2008年10月 Satoshi NakamotoがWhite Paperを公表、2009年1月 ビットコインの最初の取引が記録される、2012年6月 欧州での金融危機を契機に注目が集まる、2013年12月中国で理財ブームが起こりビットコインの価格が急騰する。

 

変化のきっかけとなったのは、2012年にヨーロッパで起こった金融危機でした。国家に依存しない金融資産として仮想通貨に注目が集まり、2013年末には中国での投資が急増します。その後、中国政府が慎重な投資を求めるメッセージを発すると、およそ半分にまで価格が下落します。

この頃、日本では仮想通貨と円やドルとの交換を行う取引所が経営破たんする事件が起こりました。これ以降、投機的な金融商品としての仮想通貨から、決済手段としての仮想通貨へと、その性質を変えていきます。決済手段としての仮想通貨には、マネーロンダリング対策が必要とされます。

 

国際的な組織であるFATF(金融作業活動部会)は、2015年6月に国際協調ガイダンスを公表しました。わが国では、2016年5月に犯罪収益移転防止法上の特定事業者に関する規定の修正によって、改めて定められた「仮想通貨交換業者」が特定事業者に対して課される本人確認義務等を負うように改正が行われました。

 

仮想通貨の代表例であるビットコインは、2008年にサトシ・ナカモトと名乗る謎の人物が発表した論文によって提案されました。最大の特徴は、発行者の存在しない分散型のしくみであることです。ビットコインには特定の発行会社は存在せず、あらかじめ設定されたプログラムに従って運用されています。

汎用性のない決済手段の典型は、ゲーム内だけで使えるゲーム通貨です。仮想通貨は、主にインターネットで使われているため、ゲーム通貨と見た目や役割の似ている場合もあります。このとき、汎用性の有無という視点において、ゲーム通貨と仮想通貨を区別することができます。

仮想通貨は決済の利便性及び匿名性の高さから、マネー・ロンダリングへの悪用又はテロ資金に供与される、というリスクが国際的に指摘されています。また「仮想通貨は儲かる」といった話を持ちかけ、金銭を支払った後に連絡が取れなくなる等のいわゆる詐欺的商法が行われているとの声も寄せられるようになってきました。

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