知恵の館(バイト=アルヒクマ)

文化

アッバース朝の都、バグダードに作られたギリシャ語文献のアラビア語への翻訳機関「知恵の館」、イスラムの「外来の学問」の研究の中心となった機関である。

8世紀後半のアッバース朝全盛期のカリフ、ハールーン=アッラシードは、エジプトのアレキサンドリアのムセイオンの大図書館に伝えられていたギリシャ語文献を中心とする資料をバグダードに移し、「知恵の宝庫」と名づけた図書館を建設した。その息子マームーンはそれを拡充し、「知恵の館(バイト=アルヒクマ)」と改め、ギリシャ語文献の組織的な翻訳を開始した。主任翻訳官はフナイン=ブン=イスハークは、ギリシャ語、シリア語、アラビア語に堪能なネストリウス派キリスト教徒で、彼は同派の学者を招き、エウクレイデスの数学書、ヒポクラテスやガレノスの医学書、プラトンやアリストテレスの哲学書、さらにギリシャ語の旧約聖書などを次々と翻訳した。この「知恵の館」から、イブン=シーナー、フワーリズミーなどが輩出された。

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