畜産

生活

畜産とは、農耕と同様に、人類が自然の生態系の枠組みを外れて、食糧を生産しだしたことである。人類は、その御蔭で、環境収容力を超えて、個体数を増やすことができた。また、蹄のついた生きた財産として所有し、「蓄財」することが可能になり、牧草地という広大な土地の「所有権」の意識を芽生えさせることにもなった。

馬や、牛など、大型の家畜は、産業革命によって、蒸気機関、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジンが発明されるまでは、交通機関であり、耕作機械であり、動力や兵器でもあった。

さらに、広大な距離を容易く踏破できる、馬や、ラクダや、ロバを使役することができなければ、人類は、徒歩で移動できる範囲に留まらざるをえなかったはずであり、自給自足できない土地でも、岩塩を採掘し、交易することで、その生活圏を、世界中に拡大させるような事態にはならなかっただろう。

推古天皇の時代、百済国から駱駝、驢馬各1頭、羊2頭、白雉1羽が献じられ、また、嵯峨天皇の時代、新羅国から黒羊2頭、白羊4頭、山羊1頭、鵞鳥2羽が献じられたとあり、醍醐天皇の時代にも、唐人が羊、鵞鳥を献ずとあって、その後、何度か羊の輸入の記録が残っていますが、羊毛、羊肉の文化は、根付きませんでした。

一方、牛や馬は、古くは、縄文、弥生時代に、大陸から朝鮮半島、あるいは琉球列島を通じて、日本にも渡来し、交雑を重ね、見島牛、南部牛や野間馬、木曽馬など、在来の品種を作り出しています。

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