会社が現場をやせさせる

労働

「会社を豊かにするため、現場は努力せよ」

これは、会社のエゴイズムです。

エゴイズムだからいけないのかというと、そんなことはありません。会社とは、「利潤を追求するために存在する組織」なので、会社のあり方からすれば、これは「善」です。

しかし、いくらこれが「善」だからと言って、会社が一方的に現場から収奪をするだけでは、現場がやせます。

「現場がやせる」とは、たとえば、「働け、働け、会社を豊かにするため、社員一同は働きまくれ」と命令されるだけでは、社員達がすり切れてしまう、ということです。

 

またたとえば、「激安商品を売りまくるために、その商品の仕入れ値を叩いて叩いて叩きまくる」です。安く売って利潤を上げる方はそれでもいいでしょうが、いくら作っても安く買い叩かれる商品の製造納入業者の方は、たまったもんじゃありません。「いくら作っても儲からない」が浸透して、いつの間にか、商品製造業者の側の製造意欲をそいでしまいます。これもまた、「現場をやせさせる」です。

 

「現場をやせさせる」には、「マーケットをやせさせる」もあります。「これは売れる!」で、実際に売れて、「売って売って売りまくれ!」になって、需要が頭打ちになっても「まだまだ売れる!」で、ほんのちょっと目先を変えただけの類似品を大量にマーケットに流せば、消費者に飽きられて、その商品のマーケットそのものが消滅してしまうことだってあります。「ヒット商品のその後」というのはかなり哀しいものですが、これもまた「マーケットをやせさせる」をやってしまった結果です。

会社は「利潤を追求する組織」で、利潤とは、現場から吸い上げられるものです。だから、「会社が現場をやせさせる」は、いたって当たり前に起こるのです。

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