工業原料としてのゴム

産業

ゴムはその弾力性、防水性など他の物質に求め得られない性質が有り、相当古い昔からアメリカ・インディアンの間で知られていたようです。欧米の文明史にゴムを紹介したのは、コロンブスであるというのが通説になっています。

1880年、イギリスの獣医ダンロップが空気入りタイヤを発明するにおよび自動車産業の出現と相まって、ゴムの使用量は急激に上昇しました。

ゴム樹の原産地は南米アマゾン河流域です。ゴム樹の生育する条件は、年中高温多湿で、強い風が吹かない地方でなければなりません。植物学上では「ゴム帯」と呼ばれる、赤道を中心に南北緯30度の間にまたがる熱帯地方の、特に雨量の多い所を除いては存在しません。

ゴムが工業原料として真価を発揮しだすと人々はゴムを求めて狂奔しましたが、野生ゴムしかなかったので、1825年、ポルトガルから独立したブラジルはゴムを独占し輸出税を課すと共に、ゴムの種子、苗の持ち出しを禁止しました。しばらくの間、野生ゴムの独占と奴隷の酷使により、ブラジルは巨額の利益を得ました。

1876年、イギリス人、ウィックハムはブラジル政府の厳重な監視の目をかいくぐってゴムの種の密輸出に成功し、ロンドン郊外のキュー植物園で発芽させた苗をセイロン島、シンガポールに移植しました。かくしてアマゾン河流域に野生したゴム樹はマレー半島、ボルネオ等の平地に栽培されるようになりました。

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