近世の医学と黒死病

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近世の欧州人は風呂に入らず、手を洗わず、歯を磨かず、垢だらけで、歯は虫歯でボロボロだったが、水にできるだけ触れないようにする習慣は、「病気は肌の毛穴から毒素が侵入するためで水分に触れるべきでない」と言う誤った医学知識が近世の初頭に流行ったからである。

中世では、病は神の罰であり、ひたすら行いを改め神に赦しを請うべきであり、例え、死に至るとしても、それは神の摂理で、宗教的に正しい行為を行っていた者は天国に召されるため恐れる必要はないとされ、小手先の医療知識はむしろ魔術の類と見なされ、民間の俗説は常に広まりを見せるにしろ、聖職者たちはそれを否定するため、社会全般に広まることはないのである。これが1348年の黒死病以降に変わり始め、医療への関心が高まってくる。

中世ではローマ時代のような、技術の粋を尽くした、風呂、水道、下水道のような設備は望むべくもなく、風呂は比較的、裕福な階級がバスタブに湯をためて行水のように入る程度だが、庶民でも可能なら水浴びや湯で身体を拭うぐらいはするし、祈りの前や食事の前後に手を洗い、口をゆすぐのである。また、砂糖は高価で庶民の口に入ることはなく、現代のような加工食品もないため、虫歯は少なかった。

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