岩田梅岩

政治

石田梅岩は、士農工商は世界を秩序づける原理で、天下を治めるには1つも欠かせないと言います。「君主の仕事は世の中を治めること、君主を助けるのが士農工商の四民の職分。侍は位をもつ家臣、農民は農村の家臣、商人は市井の家臣である」。つまり、社会的身分差別を、社会的分業、社会的機能の違いとして説明しています。

 

「士農工商」という言葉が見られるのは、中国の春秋戦国時代から漢の時代に書かれたとされる『管子』。これには「士農工商四民、国の礎」と書かれている。また、後漢時代に班固が書いた前漢についての史書『漢書』にも同じ表現がある。

その趣旨は政治に携わる者、農業に従事、食糧生産を受け持つ農民、さまざまな生活必需品を作り出す職人、そして物品の流通を担当する商人たちがそれぞれの職分を果たすことで国が栄える、という心構えを示したものという。

しかし、法制的に見ると徳川幕府が士農工商を位置付けたものはない。一般に、意識されるようになったのは、元禄バブルが始まる直前あたりから商人の勢いが増し始め、これに対する対抗心から、商人を卑しめる言葉として意図的に再浮上したと見た方が妥当だ。

「売買ならずは買人は事を欠、賣人は賣れまじ。左様なりゆかば商人は渡世なくなり農工と成らん。商人皆農工とならば財寶を通す者なくして、萬民の難儀とならん。士農工商は天下の治る相となる。四民かけては助け無かるべし。」(石田梅岩『都鄙問答』)

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