明治政府の指導者たち

日本

明治政府の指導者たちは、列強と協調し近代化を進めなければ民衆福祉の安定と向上はむろん、独立の維持と国威の発揚という国家名誉の実現も不可能であり、またその反面、外圧に抗して民族的自覚を高めなければ、安全と繁栄もありえないことを痛感した。

日本が軍事的弱小国であるだけでなく、社会的・技術的にも後進国であるかぎり、日本の対外政策は先進技術と資本の輸入のための「国際協調主義」と、欧米資本の浸透に抗して自立性を維持するためにアジアに進出して食糧とエネルギー資源を確保する「アジア主義」という2つの枠組みを超えることができなかった。

しかし、欧米がアジア侵略を続けているかぎり、「国際協調主義」と「アジア主義」の両立は困難であった。

急激な近代化政策は伝統的共同体を解体して民族文化を破壊するおそれがあり、無秩序な外資導入は日本経済を外国資本に従属させ、政治的独立に脅威を与えた。

また、工業化に伴う、食糧と資源輸入のための無思慮な大陸進出はアジア諸民族の抵抗と列国の反撥を招いた。

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